
「ねぇ、この靴なんとかしてよ……」と、女性のお客様が靴を持ち込まれました。
あーーっ。これは激しくやちゃいましたねぇ。
「そうなのよぉ、新しく買って初めて履いたその日にやっちゃったのよ」
いやいや、いったいどんな歩き方してるのですか(汗)
うーーん……。かなり傷が深いですからねぇ。しかもこの革は、しぼり加工という独特な風合いを作り出している革ですから……。
マジで修正の難易度が特Aなんですけど……。キレイに修正してあげられる自身がないです。
「えぇーーッ!そんな冷たいことを言わないでなんとかしてよぉ~」
なんとかしろって言われてもねぇ……。
キズが目立たない程度。ってか今の状態よりもマシという仕上がりでも納得していただけますか?
「それでもいいからお願い」
というコトでとりあえず戦ってみることに……。って、コレどーやって修正すればいいんだろう?
かなり悩みましたよ。
皮革の風合いというか、革らしさというのはいったい何か?というと、動物の毛穴だとか細胞模様だとかの皮膚の感触なんですよね。
そしてその表皮の下側は、肉面であり肉の繊維なんですよ。
この靴は深く表皮を削り取ってしまっていて、肉繊維が出てしまっているので二度と表皮の風合いに戻すことは不可能なのです。
とりあえず、表皮もどきになるように処理してあげなくては傷口が目立ってしまってしょうがないですからねぇ……。
かなり悩んだ結果、こんな感じに仕上げてみましたよ。
これならば、履いている分には、ぱっと見だと傷が目立たなくなって……ますか?
それにしても、新品の靴をたった一日でこんなにしてしまうなんて……
私、泣いてもいいですか(涙)
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