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靴のお手入れの超基本

靴クリーニングとお手入れの基本

 

――ちょっとだけ想像してみてください。

 

キレイにお化粧をした女性が、寝る前にメイクを落とさずに眠ってしまいました。

翌朝に、崩れた化粧の上から新しく化粧を塗り重ねたとします。

 

さらにその翌日も、化粧を落とさずに新しく塗り重ねる……。

 

さて、いったいどーなるでしょうか?

 

当然ですが、お肌は荒れまくってしまいますよね?

 

「革靴に同じことをしていませんか?」

 

靴にクリームを塗って、靴のお手入れや靴みがきをして、靴をキレイにしました。

 

でも、しばらく履いて歩くと、靴が汚れてきたので、その上から靴クリームなどを塗ってキレイに靴みがき。

 

んで、その後も汚れたらまた靴クリームを塗ってキレイに……。

 

靴が汚れたからといって、靴クリームの上から新しい靴クリームを塗り重ねているでしょ?

 

でもそれって、お化粧の塗り重ねと同じ状態ですよね?

 

そんなことを繰り返していたら、革が痛むのは当たり前ですよね?

 

女性の方も、お化粧をしたら夜にクレンジングや洗顔をして、一度ちゃんとお化粧を落として、素肌の状態に戻してからメンテナンスをしています。

 

革靴だって同じなのです。

専用のクリーナーで古い靴クリームを落として、革を素肌にもどしてから、新しい靴クリームを塗ってあげましょう。

 

古い靴クリームなんて、ただの汚れなのです。

 

古くなり、汚れとなってしまった靴クリームを、そのまま放置してしまうと、革がどんどん劣化してしまいます。

 

また、下地の革が汚れているのに、いくらその上から靴クリームを塗り重ねて磨いたって、革靴はキレイには光ってくれませんよ。

 

とにかく、靴のお手入れをする時には、古い靴クリームと汚れを落として、革をすっぴんにしてから、新しくお手入れをしてあげることです。

 

そういった意味でも、靴を洗う『靴のクリーニング』は非常に効果的なんですよね。

 


靴クリームの違い

 

靴みがきに用品には大きく分けると、「缶」に入っている製品と、「瓶」に入っている製品の二種類があります。

では、その中身の違いをご存知でしょうか?

 

大昔の人は、皮革製品を光らせることでキレイに見せて、雨などの水を弾くようにするために、革製品の表面にロウを塗っていました。

 

ロウを革の表面に塗ると、革製品はピカピカに光ってくれますが、革の表面がすぐに固くなってひび割れてしまい、革製品の寿命が短かったのです。

 

その後、少しでも柔軟性を持たせて、皮革製品を長持ちさせようとして、油分を革に与えるために、ロウと油分を混ぜたものを、革製品の表面に塗るようになりました。

 

それが現在でも市販で売られている「缶」に入っている「ワックス」という製品です。

 

しかし、それでも皮革製品の寿命は長くなりませんでした……。

 

やがて人類は「もしかして皮革製品って水分が必要なんじゃないのか?」と気が付いたのです。

 

ってことで、水と油を混ぜ合わせてマヨネーズみたいに「乳化」させたものに、ロウを加えた乳化性のクリームをつくりました。

 

それが「瓶」に入っている「乳化性の靴クリーム」という製品です。

 

つまり、普段から革靴のお手入れをするためには、瓶に入っている乳化性の靴クリームを使用しなければならないのです。

 

日頃から缶に入っているワックスで、靴全体をお手入れしているつもりで磨いている方がいます。

これは大変に大きな間違いですので、すぐに止めてください。

 

靴をカッコよくピカピカのテカテカに光らせたい!

という場合にのみ、缶に入っているワックスを使用するのです。

 

『一般的な靴のお手入れ』というページで説明していますが、つま先部分とカカト部分にしかワックスは使用してはいけないのです。

 

チューブに入っている製品も多く売られていますが、色々と問題がありますので、なるべくなら使わない方がいいと思います。

 

現在では、約60色ほどの着色がされている乳化性の靴クリームが、色々と販売されています。

 

ご自分の靴の色に合った靴クリームを使えば、靴の発色がよくなったり、着色剤でキズやスレが隠せる場合もあります。

 

しかし、皮革は油分を吸収すると色が少し濃くなります。

そこに着色剤も入り込むと、シミのように変色してしまう場合もありますので、色付きの靴クリームの取り扱いは注意しましょう。

 

ってか、そもそも靴クリームの色では、高級な仕上げをしているデリケートな皮革じゃない限り、あまり革靴に色をつけたりなんて、できないのですけどね。

 

最後に、手も汚れず簡単に靴が光る液体靴みがきみたいな商品も市販されていますが、この商品は、最悪な自殺行為なので絶対の絶対に使わないでください。

 

液体の樹脂を、靴の表面に塗ること靴を光らせているのですが、この塗られた樹脂は、簡単には落とせないのです。

 

汚れたら、また上から樹脂を塗り重ねて、さらにまた上に樹脂を塗り重ねる……。

 

厚く塗り重ねられた樹脂が崩壊して、恐竜のウロコのようなボロボロの状態になった靴が、靴クリーニングに持ち込まれることがあります。

 

そもそも、手も汚さない簡単液体くつみがきといった商品には皮革に必要な栄養分なんて入っていません。

 

塗られた樹脂で呼吸困難になり、栄養不足なのに、表面の樹脂がボロボロに崩れて……。

悲惨という以外に表現しようがないほどに、靴がかわいそうなコトになっています。

 

結論。靴のお手入れは、瓶に入っている乳化性の靴クリームを使用すること。

なのです。

 

きちんと靴全体の汚れを除去して、きちんとメンテナンスをしてあげる。

 

それが、靴のクリーニングのお仕事なのです。

定期的な靴クリーニングをすることで、大切な靴が長持ちしますよ。

 


靴をビシッとさせましょう。

 

たとえばスーツを着て仕事をしているとします。

 

1日の仕事が終わって、疲れて家に帰り、着ているスーツを脱いで、そのままポイッ!!

 

……なんてことをしたら次の日、そのスーツはしわくちゃですよね?

 

ヨレヨレでしわくちゃの衣服なんて、恥ずかしくて、みっともなくて着られませんよね?

 

そんな服を着ていたりなんかしたら、ズボラでいい加減な人間として見られてしまいますよね?

 

そんなことにならないように、着ていたスーツはハンガーにかけるでしょ?

 

ではなぜ、履いてシワになっている靴は、玄関でそのままポイッなのですか?

 

なぜ、衣服と同じように、ハンガーで形を整えてあげないのでしょうか?

 

履きくたびれて、よれよれの靴を履いているなんてカッコ悪くないですか?

 

靴の形を整えるハンガーが「シューズキーパー」という道具です。

 

別に、木製のお高いシューツリーなんて買わなくてもいいのです。

 

最近は100円均一にだって、シューズキーパーは売っていますから、履いた靴の形は、毎回ちゃんと整えてあげましょ。

 

玄関で脱いだ靴に、シューズキーパーを入れるだけで、いったい何秒が必要だというのでしょうか?

 

たった数秒の手間をかけるだけで、毎日ビシッと形の整った靴を履いて出かけることができるのです。

 

朝、出かける時に「ビシッ」と形の整った靴を履いた瞬間、気持ちが引き締まります。

ぜひお試しくださいませ。

 


靴を過労死させないで。

 

昔から「靴は二日続けて履かないで、何足かの靴をローテーションで履きましょう」と、よく言われています。

 

では、その理由をご存知でしょうか?

 

足は人体の中でも、一番多量の汗をかく部分であり、一日で200㏄(コップ一杯分)もの汗を出しているのです。

 

しかも、汗には無色無臭の汗と、有色でニオイのある汗の2種類があり、足は、有色でニオイのある汗を出す部分なのです。

 

つまり、靴はそんな大量の汗を吸収しているということなのです。

 

ゴム長靴を履くと、短時間で靴下や足が汗で気持ち悪くなるでしょ?

本当にマジで足が出している汗の量は凄いんです。

 

さて、玄関に放置されている大量の汗を吸収した靴が、翌日には乾いているのでしょうか?

 

そんなのは無理に決まっています!

 

靴が吸収している大量の汗が乾くまでには、最低3日は必要なのです。

 

靴内部の汗が乾いていないのに、翌日も連続でまた靴に汗を吸収させる……。

 

乾かない汗の成分は靴内部で酸化していきます。

さらに、それを栄養として雑菌も繁殖させる。

湿っていて栄養も豊富な環境なんて、雑菌からしたら靴の中は天国のような環境ですよね。

 

そんな状態で、靴が臭くならないわけがないです!

 

しかも汗は靴を劣化させていくので、すぐに革が痛んでボロボロになってしまう原因となるのです。

 

靴を長持ちさせるために。靴のニオイを防ぐために。

一日履いた靴は、最低でも三日は休ませてあげなければならないのです。

 

いかに早く、靴に吸収された大量の汗を乾燥するかが、靴のメンテナンスで一番大切なことなのです。

 

靴はちゃんと休ませてあげましょう。

じゃないと、過労死してしまいますからね。

 

靴の内部まで、洗剤でキレイに洗い流す定期的な靴クリーニングが、靴のニオイを解消させて、靴を長持ちさせるという理由がおわかりいただけたでしょうか。