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一般的な革靴のお手入れ方法

 

驚いてください。私のこの革靴は30年ほど前に購入したものなのです。

 

若い頃は営業職でしたので、めちゃくちゃ履き込んでいます。

 

でも足に馴染んでいて、とても履きやすくてお気に入りの靴なのです。

 

履きすぎて、履き口も擦り切れたので革を当てて縫って修理もしています。

 

磨きすぎて、つま先部分なんか模様も潰れて消えてしまい、革がテカテカになってしまっています。

 

お手頃な価格の普通の革靴ですが、ちゃんとお手入れをして、定期的に靴クリーニングもしてあげていますので、30年履き続けてもこんなに元気な状態でいられるのです。

 


靴クリーニング職人が教える靴のお手入れ方法

 

ではでは、靴クリーニングの専門家が、靴のお手入れの奥義を伝授いたします!

 

①履いた靴はなるべく早く乾かすべし!

②たまには乳化性の靴クリームで靴みがきをして、革に栄養補給をするべし!

③靴のお手入れをする時は、汚れを落としてからしてあげるべし!

以上!終わり。

 

はぁ? なんじゃそりゃ! って思ったでしょ?

 

でも、こんな簡単なことすらも、やっていない方が圧倒的に多いのだから、しょうがないのです。

 

こんなたいして、手間も時間もかからない簡単なことだけど、ちゃんとやっていれば、革靴は30年以上も履き続けられるのに……。

 

本当に靴がかわいそうだし、もったいないと思います。

 

靴みがきのコツとしては……。

 

①(最初に、靴用ブラシで靴底と本体の境目などの、ホコリや汚れを払い落とします)

 

靴ブラシには、馬毛とか豚毛とか、白色とか黒色とか、色々と種類がありますが、別にどのブラシを使っても問題ありません。

 

馬毛だろうと、豚毛だろうと、ガシガシと隅々まで、汚れやホコリを落とすようにブラッシングしてください。

 

硬めの靴ブラシでも、ブラッシング程度では、革靴にキズなんてつきませんからご安心ください。

 

②(クリーナーで、以前に塗った古くなった靴クリームを落として、革をすっぴん状態にしてあげます)

 

正直に言って、一般に市販されている靴クリーナーという商品は、マジでダメダメな商品が多すぎます!

ちゃんとした液体タイプの靴クリーナーを探して、使用してください。

 

ただし、クリーナーは汚れ落としなので、靴の色を落としてしまったり、シミを作ったりしてしまう危険がありますので、必ずテストしてからご使用ください。

 

③(靴クリームは多すぎても少なすぎてもダメです。何事も適度が肝心なのです)

 

米粒2~3粒分程度の量を、何度かに分けながら、手荒れの時にハンドクリームを塗りこむように、靴クリームを靴全体に伸ばすように革に優しく擦り込んであげます。

 

私は、靴用のブラシでそのまま革にクリームを優しく塗りこんであげています。

 

靴クリームの量が少ないと、栄養不足になってしまいますし、多すぎると、ベタベタになってしまいますので、ちょうどよい量を塗り込んであげましょう。

 

④(ネル生地や専用の布(古くなったTシャツでもOK)で、表面の余分なクリームをふき取りつつ優しく磨き込んでいきます)

 

最初は革の表面に残っている余分なクリームを拭き取るよう磨きます。

 

靴が光るのは、靴クリームの成分である水分と、油分が革に吸収された後、革の表面に残っているロウが光っているのです。

 

力を入れすぎると、表面のロウが残らずに光りません。

最後は優しく、革の表面を滑らせるようにロウの膜を光らせてあげます。

 

これで靴がしっとりと潤ってツヤツヤのピカピカになりますので、それで終わりです。

 

最近では、60色ほどの靴クリームが売られていますので、自分の靴の色に合った靴クリームを購入してみてもいいと思いますよ。

 

ただし、これは靴の表面だけのお手入れです。

 

靴で一番汚れているのは、大量の汗で汚れている靴の内部なのです。

 

靴の表面のお手入れは、自分でもできますが、靴の内側(内部)のお手入れ方法は、靴のクリーニングしかありません。

 

同じ靴下を二日続けて履いたりはしないですよね?

定期的に靴のクリーニングで、靴の外側も内側もキレイにしてあげてください。

 


アニリンカーフなどデリケートな革靴

靴クリーニング

 

皮革(レザー)の『革らしさ』とか『風合い』というのは何なのでしょうか?

 

皮革の革らしさとか、風合いというのは、動物の肌の細胞模様や、毛穴模様のことなのです。

生物の肌の質感を感じられるから『革』なのです。

 

エナメルの革・ガラス加工の革・合成皮革など……

素材の表面に肌模様がないので、極端に言えばそれらの素材は、ぱっと見ただけでは革なのか、ビニールなのかわかりませんよね。

 

皮革(レザー)は、素材に生物の肌の質感を感じられるからこそ『革』だと思えるのです

 

皮革(レザー)は、製造工程で色々な色に着色されています。

 

若く健康的で、状態の良い動物の肌は、薄化粧でキレイな肌の風合いを出すように仕上げます。

 

その逆に、傷やシミがあり、肌の状態が悪い革になるほど、肌の汚さを隠すために厚化粧をしてごまかします。

 

当然ながら、皮革の表面を顔料で、べっとりと厚く塗られてしまうと、下地の肌模様(革らしさ)は消えてしまいますよね。

 

わかりやすく簡単に説明すると

 

〇透明度の高い水性の絵の具で塗れば、下地が透けて見える。革がキレイ!

〇透明度の無いペンキで塗ると、下地の汚さが隠せる。そんなの革じゃない!

〇水性絵の具とペンキの混ぜ具合で、色々な風合いの革が作れる。便利だね。

 

って感じですね。

 

キレイな肌の革の風合いを見せるために、透明度の高い水性の染料の割合を多くして、できるだけ下地の革の風合いを損なわないようにして、着色をしているのです。

 

しかし『透明度の高い水性の染料』というのが、非常にデリケートなのです。

 

水性なので、簡単に水に溶けてしまう……。

 

そう、雨に濡れただけで簡単に水シミになってしまうのです!

 

その他にも、デリケートな仕上げなので、汚れたり、変色したり、色落ちしたり……。

とにかく染色が弱いので、色々なトラブルを引き起こしてしまうのです。

 

代表的なデリケート仕上げの革に『アニリン染め』というものがあります。

 

水性の透明感の高い酸性の合成染料で着色をして、タンパク質系のガゼインで表面を仕上げています。

 

非常に質感の美しい皮革(レザー)です。

 

しかし困ったことに、アニリン染めの革って、濡れたタオルで水拭きするだけで色が取れてしまったりするほどに非常にデリケートなのです。

 

そんなデリケートな革に、汚れ落としのクリーナーとか、普通の乳化性クリームなどを使用してしまうと、マジでヤバイことになってしまいます。

 

それでは、そんな取り扱い注意の危険な革靴のお手入れ方法は、どーすればいいのでしょうか?

 

アニリンカーフ専用の靴クリームという商品が販売されていますので、それを使用してください。

 

しかし、いくら専用のクリームだからといっても、相手は強敵のアニリン染めです。

思わぬトラブルを引き起こさないように、最初はできるだけクリームは少なくして、徐々に塗ってください。

 

それでも怖い……という方は、デリケートクリームという商品も売られていますので、そちらを使用してください。

 

デリケートクリームは、女性の方がお肌のお手入れに使用しているスキンケアの乳液みたいな靴用のクリームです。

純粋な保湿剤なので、トラブルになることは少ないと思います。

 

革の風合いを感じられる靴ほどカッコイイし、美しいです。

でもその分、普段の使用やお手入れに注意が必要になりますので、ご注意ください。

 

でも、そんな美しい革靴をお手入れできる上級者になれれば……

カッコイイですよね。

 

大切な靴を長持ちさせるために、定期的な靴のクリーニングをしてあげましょう。

 


靴をピカピカに光らせるポリッシュ

 

靴をカッコよく、ピカピカに光らせたいですか?

 

ならば、靴をピカピカに光らせる方法をお教えいたします!

 

高級な革靴や、靴好きな方の靴が、透き通るようにピカピカに光っているのは、『ポリッシュ』という特別な磨き方をしているからなのです。

 

まず知ってほしいのは、エナメルやガラス加工などの、樹脂膜で変に光っている加工革ではなく、革の質感や風合いが美しく出るように革靴を光らせているのは、透明な『ロウ』の被膜が光っているからなのです。

 

このロウの被膜を作るために、缶に入って売られている『ワックス』というものを使います。

 

よくあるポリッシュの方法として、靴関連の書物や、ネットでは、指に巻き付けた布にワックスをつけて、円を描くようにワックスを革に「塗りこんでいく……。

 

とか書かれていますけど、これをマネするとだいたい失敗して、革の表面を傷つけて泣きたくなってしまいます。

 

私のお店に、自分でポリッシュをしてみたけど、失敗して駆け込んでこられる方は、だいたいこのパターンですね。

 

だって、ワックスって固形状でけっこう固いのに、それをそのままつけて革の表面に塗り込んだら、研磨剤のコンパウンドで革を磨くようなもんですから、革の表面が削れるのは当たり前だと私は思うのですがねぇ……。

 

ではどうすれば失敗しないか?ですが、ワックスに直接、人差し指とか中指を当ててください。

 

ワックスの成分はロウと油ですから、体温でワックスが柔らかくなって溶けてくるのです。

 

そうしたら指についたワックスを革の表面に優しく塗り込んであげましょう。

 

少し待ってワックスが乾いたら、最初は柔らかい布で革の表面を滑らせるように優しく撫でてあげます。

 

この時に、強くこするとせっかく塗ったワックスが取れてしまいますから注意してください。

 

やさしく、なでなでしてあげる気分で表面を滑らせてあげるのがコツです。

 

革の表面は微細な凸凹がありますので、ロウの膜で凸凹を埋めてあげて、ツルツルの膜を作るような感じです。

 

ロウの粒子でザラザラの表面が、少しツルツルの滑らかになってきたら、水を1~2滴ほどワックス部分に垂らして、水で滑らせるような感じで表面を鏡面にしていきます。

 

ワックスが完全に固まって、輝きがでてくるまで根気よく磨きます。

 

これを20回程度繰り返すと、ロウの被膜がガラスの膜のようになってピカピカにキレイに光ります。

 

ポリッシュとは、根気と、根性と、愛情で、革の表面に何層ものロウの被膜を作り上げていくのです。

 

ワックスの膜を作るには時間がかかりますので、テレビでも見ながら磨いてあげてください。

 

【ここで注意事項があります!】

 

ロウの被膜を作ることで革を光らせているのですが、ロウの被膜なので、簡単に割れます!

 

歩くときに靴は屈曲します。

歩行によって履きジワが入る場所にワックスを塗ると、ロウがひび割れて汚くなってしまいます。

 

ですから、靴の柔らかい場所にワックスを塗ってはいけません!

 

靴の固い場所……

つまり、つま先とカカト部分には心材が入っており、歩行によって革は屈曲しませんので、必ず『つま先とカカト部分』だけにワックスを使用するようにしてください。

 

いくら靴を光らせたいからといって、靴の全体にワックスを塗るようなことはしないでくださいね。

 

でも、正直言って、よほどの靴好きな方じゃないと、ポリッシュという作業は大変ですし、キレイに光らせるのは難しいです。

 

靴クリーニングに出して、靴をきれいさっぱりとしてから、ポリッシュを依頼するのが、一番手っ取り早いかもしれませんよね。